『親鸞』が現代に蘇り、令和に生きる私たちに説教したとしたら・・・という物語

 # 親鸞が令和にやってきた

 ある日、東京の街中で、奇妙な姿をした老人が見つかった。彼は頭に白い布を巻き、袈裟をまとい、木の杖をついていた。彼は自分の名前を親鸞と言い、鎌倉時代から来たと主張した。周囲の人々は彼を変人だと思い、無視したり嘲笑したりしたが、彼は平然として歩き続けた。 

やがて彼は公園に着き、ベンチに座った。そこには若いカップルがいた。彼らはスマートフォンに夢中で、互いに話しかけることもなかった。親鸞は彼らに声をかけた。 

「おや、お二人さん。何をしておられるのかね？」 

カップルは驚いて親鸞を見た。彼らは彼の格好に呆れたが、礼儀正しく答えた。 

「あの、私たちはSNSを見ています」 

「SNS？それは何だね？」 

「えっと、インターネット上で友達や知り合いとつながって、写真やメッセージをやり取りするサービスです」 

「ふむふむ。それは便利そうだね。でも、お二人さんは目の前にお互いがいるのに、なぜSNSに夢中なのだね？」 

「それは・・・」 

カップルは言葉に詰まった。親鸞は続けた。 

「私は昔、自分の欲望や執着を断ち切ろうとしたが、それは不可能だと気づいた。私は自分の罪深さや愚かさを悟り、阿弥陀仏の救いにすがった。それが浄土真宗の始まりだった。 お二人さんも、自分の心の中にある欲望や執着を見つめてみるがよい。それらは決して満たされることはなく、苦しみのもとだ。それよりも、目の前にある大切な人と心を通わせることが大事だ。お二人さんはお互いに愛し合っているのだろう？だったら、その愛を大切にするがよい。阿弥陀仏も喜ばれるだろう」 

親鸞はそう言って微笑んだ。カップルは親鸞の言葉に感動し、スマートフォンをしまって、手をつないだ。親鸞は彼らを見送って、別の場所へと歩いていった。 

親鸞はその後、様々な人々に出会い、令和の世界について学んだ。彼はテレビやラジオで自分の教えを語り、多くの人々の心に響いた。彼は仏教の本質は慈悲と平等であると言い、差別や偏見に反対した。彼は戦争や暴力に悲しみ、環境や人権に関心を示した。彼は自分の信仰を押し付けることはなく、他の宗教や思想とも対話した。彼は令和の時代にも、浄土真宗の精神が生きていることを感じた。 

親鸞は一年ほど令和に滞在した後、再び鎌倉時代に帰ることにした。彼は最後に記者会見を開き、次のように言った。 

「私は令和の世界で多くのことを学びました。私は驚きましたが、感動しました。私は令和の人々に感謝します。私はこれから鎌倉時代に帰りますが、私は忘れません。私はお二人さんにも忘れないでほしいです。私たちはみな、阿弥陀仏の光に照らされています。私たちはみな、同じ仏性を持っています。私たちはみな、お互いに助け合って生きています。それが浄土真宗です。それが仏教です。それが人間です。 

さようなら、令和の人々。南無阿弥陀仏」 

親鸞はそう言って笑顔で手を振った。そして、彼は消えてしまった。彼が残したものは、彼の教えと、彼の愛だった。