やる気がない時に『偉人の言葉』を読んで無理にやる気を出したところ、却って逆効果になってしまった…という物語

 彼はやる気がなかった。仕事にも勉強にも恋愛にも。毎日が退屈で、何のために生きているのかわからなかった。

そんな彼がある日、本屋で『偉人の言葉』という本を見つけた。表紙には「人生を変える名言集」と書かれていた。彼は興味を持ち、本を手に取った。

中を開くと、歴史上の有名な人物たちが残した言葉が並んでいた。彼は一つ一つ読んでいった。

「人生とは自分の運命に抗って闘うことである」

「努力せずに成功することはありえない」

「失敗は成功のもと」

「夢を見ることができれば、それは実現できる」

彼はこれらの言葉に感銘を受けた。自分もやる気を出して、人生を変えなければと思った。本を買って帰り、机に座った。

まずは仕事だ。彼はパソコンを開いて、メールをチェックした。すると、上司からの怒りのメールが届いていた。締め切りを守れなかったプロジェクトについて、責任を取れと言われていた。

彼は焦った。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「人生とは自分の運命に抗って闘うことである」という言葉が頭に浮かんだ。彼は勇気を出して、上司に電話した。

「すみません、プロジェクトの件ですが…」

「何だ、お前か。遅れてごめんなさいなんて言っても許さないぞ。お前のせいで会社の信用が落ちたんだぞ」

「そうですか…でも、私はまだ諦めません。このプロジェクトを成功させるために、全力を尽くします」

「全力を尽くす？今さら何を言ってるんだ？お前はもう終わりだ。明日、会社に来るな」

「えっ…」

電話が切れた。彼は呆然とした。上司にクビにされてしまったのだ。彼は涙が出そうになった。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「努力せずに成功することはありえない」という言葉が頭に浮かんだ。彼は泣き止んで、パソコンに向かった。

次は勉強だ。彼は大学院生でもあったが、卒業論文が書けずにいた。指導教授からも催促されていたが、テーマも決まらず、進展がなかった。

彼はネットで調べ物をしようとした。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「失敗は成功のもと」という言葉が頭に浮かんだ。彼はネットを閉じて、本棚から専門書を取り出した。

自分で考えて書くべきだと思った。彼はペンとノートを用意して、書き始めた。でも、何を書いても納得できなかった。彼は書いたものを次々に破り捨てた。

やがて、部屋は紙くずだらけになった。彼は疲れ果てて、机に突っ伏した。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「夢を見ることができれば、それは実現できる」という言葉が頭に浮かんだ。彼は目を閉じて、夢を見ようとした。

最後は恋愛だ。彼には好きな人がいた。同じ大学院の先輩だった。彼はずっと彼女に想いを寄せていたが、告白する勇気がなかった。

彼は携帯電話を見た。彼女からのメッセージがあった。明日、一緒に食事に行こうと誘われていた。彼は驚いた。もしかしたら、チャンスかもしれないと思った。

彼はメッセージに返事をしようとした。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「人生とは自分の運命に抗って闘うことである」という言葉が頭に浮かんだ。彼は迷わず、メッセージに「好きです」と書いて送った。

すると、すぐに返事が来た。「えっ…ごめんなさい、私、彼氏がいるんです…」

彼はショックを受けた。彼女はただ友達として誘ってくれただけだったのだ。彼は悲しみに暮れた。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「努力せずに成功することはありえない」という言葉が頭に浮かんだ。彼は立ち上がって、外に出た。

次の日、彼は大学に行った。指導教授に会おうと思った。卒業論文のテーマを決めるべきだと思った。でも、教授室の前に着くと、教授からのメールが届いていた。「お前の卒業論文は不合格だ。もう一度やり直せ」

彼は呆然とした。卒業論文を提出した覚えがなかった。どうやら、昨日書いて捨てたものが誤って送信されてしまったらしい。彼は絶望した。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「失敗は成功のもと」という言葉が頭に浮かんだ。彼は笑って、教授室に入った。

「先生、こんにちは」

「お前か。何で来たんだ？もう話すことなんかないぞ」

「そうですか…でも、私はまだ諦めません。この卒業論文を完成させるために、全力を尽くします」

「全力を尽くす？今さら何を言ってるんだ？お前はもう終わりだ。明日、大学に来るな」

「えっ…」

教授がドアを閉めた。彼は呆然とした。教授にクビにされてしまったのだ。彼は涙が出そうになった。彼は涙が出そうになった。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「夢を見ることができれば、それは実現できる」という言葉が頭に浮かんだ。彼は目を閉じて、夢を見ようとした。

その時、彼の携帯電話が鳴った。彼は驚いて、電話に出た。「もしもし」

「あの…こんにちは。私、先輩の彼女なんですけど…」

「えっ…」

彼は声に聞き覚えがあった。昨日、好きだと告白した先輩の彼女だった。「どうしたんですか？」

「実は…先輩と別れました」

「えっ…」

彼は信じられなかった。先輩と別れたなんて、なぜだろう。「どうしてですか？」

「先輩が浮気していたんです。私の友達と…」

「えっ…」

彼は驚愕した。先輩が浮気していたなんて、ありえない。「それは…すごくショックでしたね」

「はい…でも、私、あなたのメッセージを見て、勇気をもらいました」

「えっ…」

彼は戸惑った。自分のメッセージを見て、勇気をもらったなんて、どういうことだろう。「どういう意味ですか？」

「あなたは私に好きだと言ってくれましたよね。私もあなたのことが好きです」

「えっ…」

彼は呆然とした。彼女も自分のことが好きだと言ってくれた。これは夢なのだろうか。「本当ですか？」

「本当です。あなたと一緒にいたいです。今日、会えませんか？」

「えっ…」

彼は動揺した。彼女と会えるなんて、信じられない。「今日ですか？」

「はい。今すぐにでも。どこかで待ち合わせましょう」

「えっ…」

彼は迷った。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「人生とは自分の運命に抗って闘うことである」という言葉が頭に浮かんだ。彼は決心した。「わかりました。じゃあ、駅前のカフェでどうですか？」

「いいですね。じゃあ、そこで待ってますね」

「はい。では、すぐに行きます」

電話が切れた。彼は慌てて、部屋を出た。

駅前のカフェに着くと、彼女がすでに待っていた。彼女は笑顔で、彼に手を振った。「こんにちは」

「こんにちは」

彼は緊張しながら、彼女の隣に座った。「すみません、急に誘って…」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。私もあなたに会いたかったんです」

「そうですか…」

彼は嬉しくなった。でも、不安もあった。先輩と別れたばかりの彼女が自分に惹かれるなんて、本当なのだろうか。「本当に私のことが好きなんですか？」

「もちろんです。あなたは素敵な人ですよ。優しくて、頭がいいし、面白いし…」

「そんなことないですよ…」

「本当です。私はあなたのことをずっと見ていました。先輩の後輩だったから、話す機会もなかったけど、あなたのことが気になっていました」

「そうですか…」

彼は驚いた。彼女は自分のことをずっと見ていたと言ってくれた。これは夢なのだろうか。「これは夢ですか？」

「夢じゃないですよ。現実ですよ。私はあなたが好きです。あなたも私が好きですよね？」

「はい…好きです」

彼は素直に答えた。彼女が好きだった。これは夢ではなく、現実だった。「じゃあ、付き合ってください」

「えっ…」

彼は瞬きした。彼女が付き合ってくださいと言ってくれた。「本当にいいんですか？」

「本当にいいですよ。私はあなたと幸せになりたいです」

「私も…」

彼は言葉に詰まった。でも、『偉人の言葉』を思い出した。「夢を見ることができれば、それは実現できる」という言葉が頭に浮かんだ。彼は笑って、彼女に言った。「じゃあ、付き合ってください」

「嬉しいです。ありがとう」

彼女は喜んで、彼に抱きついた。

その瞬間、彼は目が覚めた。

彼はベッドの上で横になっていた。部屋には紙くずが散らばっていた。携帯電話には上司や教授からの怒りのメールが届いていた。

彼は夢を見ていたのだった。